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丸に梅鉢

成り立ち

 梅は中国が原産地とされ、古代日本に渡来し栽培されたが、日本にも野生の梅はあった。早春に香り高く咲く白い花と風雅に富んだ樹姿は日本人に愛好され た。梅は別名好文木といい、学問の栄えるときには立派な花をつけるという伝説がある。このように梅は学問とのつながりが深い。この梅の花を写実的に象った のが梅紋で、梅鉢紋は花弁を丸形にし、幾何学的に図案化した紋章である。他の花に先駆けて寒中に凛々しく芳香を放って咲く梅の高潔さは、一年中常緑の松、 雪に耐える竹とともに中国では「歳寒の三友」と称して、古代から吉祥の植物とされていた。日本に渡来しても、松竹梅と呼ばれ、瑞祥の植物として演技を重ん ずる日本人に重用された。このようなことから文様は吉祥的な意味が含まれている。

使用家

 文様としては古くから用いられたが、家紋としては足利時代以降で、「見聞諸家紋」に初めて現れる。これによると、加賀国石川郡の豪族松任氏、大和国に筒 井氏、平氏が用いたとある。ともに天満宮に深い関係のある氏でもある。戦国時代になると、天満宮信仰が武士の間にも広まり、特に近江、美濃の豪族は盛んに 信仰し、梅鉢紋を用いたものが多い。徳川時代になると更に増え、大名では前田氏、松平氏、小出氏、相良氏が用い、幕臣では110余家が用いている。公家で は「雲上明覧」に菅原氏系の高辻、東坊城、唐橋、清岡、桑原の諸家の家紋が載っている。
 梅鉢紋は現在では全国的に多く用いられ、常に使用家紋のうち、上位に入っている。特に普通の梅鉢、丸に梅鉢紋の二紋で梅鉢紋の80%を占めている。使用 家も多いが、目に付くことは菅原氏、菅野氏など「菅」の字のつく、また梅田氏、梅沢氏などの「梅」の字のつく名字の氏が多い。分布は前田藩(=金沢藩)の 支配下であった、石川県、富山県は当然多いと思われがちだが、使用氏は他の県に比較して非常に少ない。これには色々理由が考えられるが、主君の紋を用いる ことを遠慮したためと思われる。梅鉢紋を流派別にみると、前述のごとく菅原氏族が圧倒的に多く、次いで清和源氏支流、藤原支流の順である。

「丸に梅鉢」の使用氏族

1.片山氏山城国発祥、清和源氏頼親流

2.福田氏未勘源氏流

3.山田氏下野国都賀郡山田より起こる菅原氏族

4.由井氏清和源氏支流、旗本

5.萩原氏近江国の発祥、菅原氏族、旗本

6.比留氏藤原支流、旗本

7.町田氏未勘源氏流

8.西川氏藤原氏秀郷流

9.美濃部氏近江国甲賀郡美濃より起こる菅原氏族、旗本

10.筒井氏大和国添下郡筒井より起こる藤原氏族、旗本

11.伏見氏菅原氏族、旗本

12.横山氏菅原氏族

13.福井氏藤原氏支流

14.青木氏未勘源氏流

15.一色氏出雲臣族菅原唐橋家流

16.堀氏近江国浅井郡堀村より起こる菅原氏族、旗本

17.三橋氏菅原氏族

18.武島氏近江国発祥の菅原氏族美濃部氏裔

19.太田氏美濃国発祥の菅原氏族

20.佐々木氏宇多源氏佐々木庶流

21.佐野氏河内国より起こる菅原氏族

22.菅谷氏菅原氏族

23.竹内氏菅原氏族

24.恒川氏菅原氏族

25.河島氏宇多源氏にて、近江国高嶋郡川島村より起こる

26.竹尾氏清和源氏新田氏族

27.小倉氏菅原氏族

28.臼井氏清和源氏支流

29.松井氏宇多源氏佐々木支流

30.沢氏近江国発祥の菅原氏族余語氏裔、旗本

31.岡井氏菅原氏族

32.室氏三河国発祥にて、菅原氏族

33.中内氏近江国発祥にて、宇多源氏佐々木氏族

34.森氏未勘源氏流

35.野村氏菅原氏族

36.その他

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